#5 “Engine sound perception – Apart from so-called engine order analysis”
(SFA/DAGA’04, 2004年、ストラスブール)
これまでの発表(2002〜2024年)の中から、特に印象深い5つを選びました。その第5位が、2004年にストラスブールで行われたSFA/DAGAでの発表です。
当時私はドイツの自動車メーカーに在籍しており、「スポーツ感」を表現できるエンジンサウンドの物理パラメータを探していました。しかし、一般的な心理音響パラメータはその印象を十分に説明できず、従来のエンジンオーダー解析も限界があると感じていました。人はrpm(エンジン回転)の変化だけでなく、時間的な音の振る舞いに強く反応するとするのが自然だからです。
そこで私は、新しい指標として「Frequency Dynamic(周波数動特性)」を導入しました。これは時間に対する周波数変化を捉えるもので、短時間FFT解析に基づき、後の私の音質評価やサウンドデザイン研究の基盤となりました。この名称は、心理音響分野で私を導いてくださったオルデンブルク大学のReinhard Weber博士が提案してくださったものです。指導いただいたWeber博士、Mellert教授には深く感謝しています。

また、この会議ではGenesis(現Ansys Sound)のPatrick Boussard氏とも出会い、彼が紹介してくれたソフトウェアは、私にとって研究を大きく前進させる「魔法の杖」となりました。サウンドクオリティ解析やアクティブサウンドデザインに取り組む上で欠かせないツールとなり、今でも大きな財産です。