音質評価

DAGA 2026(ドイツ音響学会)にて発表いたします

TUドレスデンで開催されるDAGA 2026にて発表いたします。 発表タイトル:Integration of AI-SQ Engineering and Creative Sound Design— From ASD to the Era of AI Automotive Sound 本発表では、心理音響パラメーターと三つのAIアプローチを統合した「AI-SQ Engineering」の枠組みをご紹介します。 また、音質評価と具体的なサウンドデザインを結びつける「楽譜化(時間構造型)」によるクリエイティブ・サウンドデザインの概念を提示します。 さらに、ドイツと日本で自動車サウンドデザイン思想にお[…]
2026年3月4日

車室内を静かにする音響学

― 吸音メカニズムからシンサレート、そしてマツダ社のロードノイズ低減事例まで ― はじめに 近年、自動車の静粛性は快適性を大きく左右する要素です。エンジン音が抑えられ、電気自動車も増える中、タイヤと路面の相互作用に起因するロードノイズ(低周波成分を多く含む)が相対的に目立つようになりました。この記事では、①吸音の理論、②高性能吸音材シンサレート、③マツダのロードノイズ低減事例の順に解説します。 ① 吸音メカニズム ― 粒子速度と音圧の関係 1) 音の正体と「エネルギー散逸」 音は空気粒子の疎密で伝わる縦波です。吸音材は、繊維内部の粘性摩擦・熱伝導によって、音の運動エネルギーを熱に変えて散逸させま[…]
2025年10月4日

ドライビングシミュレーターによるタイヤ音シミュレーション

・はじめに 近年のドライビングシミュレーターは、大規模な物理ベース計算(physics-based simulation)を実行できる水準に到達し、実車に近い挙動や音響現象を再現できるようになっている。自動車開発においては、プロトタイプ車両を製造せずに仮想空間上にモデルを構築する「試作レス開発」が進展しており、開発期間短縮とコスト削減の両立が求められている。 音響開発の領域では、従来の統合的な騒音評価に加え、車両部位ごとの影響を分離して解析するアプローチが重要になりつつある。特にエンジン音のような広帯域かつ高音圧の音源と異なり、タイヤ音は発生メカニズム毎に周波数帯域が限定的であり、その発生機構も[…]
2025年9月16日

#1 シャア・アズナブル / ジェダイマスター : アクティブサウンドデザイン(ASD)のサウンドデザインレシピ(JSAE 2015 横浜 / inter-noise 2015 サンフランシスコ)

1980年代に日本で育った方なら、きっとご存じでしょう。『機動戦士ガンダム』の“赤い彗星” シャア・アズナブルです。日本以外でも、『スター・ウォーズ』に共鳴した方は多いでしょう。こうした文化的アイコンから着想を得て、私はアクティブサウンドデザイン(ASD)に独自のアプローチを見出しました。 ASD-エンジンサウンドを制御・変化させるシステム―を研究し始めて以来、自動車業界での適用事例に少し物足りなさを感じていました。その多くはエンジンの次数成分を調整するにとどまっていたからです。サウンドデザイナーの視点から見れば、重要なのは物理パラメータそのものではなく、システムがどのような音響効果(サウンドエ[…]
2025年9月11日

#2 「AIサウンドソムリエ」による“音のテイスティング”(inter-noise 2024、ナント、フランス)

種をまけば必ず芽は出る――仏教では「因果応報」と呼ばれます。もちろん私たちは良い種をまき、良い芽を育てたいと願いますが、ときに思いがけない“贈り物” が、大きな一歩を踏み出した先に現れることもあります。 2023年の学会発表直後、私のもとにも二つの”贈り物”が届きました。一つは、自動車技術会での発表を聞いたある日産のエンジニアの方からの依頼でした。「AIが自動車の音質に与える影響」について講演してほしいというものです。私は快く応じ、2023年末のシンポジウムで発表を行いました。 もう一つは、ドレスデン工科大学のセルカン・アトマー博士からの声かけでした。彼の音質評価の話は、私が以前から構想していた[…]
2025年9月10日

SSDS /JMAC 2025

9月4日、5日、中央大学でSSDS/JMAC2025に参加して参りました。講演の機会を頂き、また色々な方とお話しできる良い機会になりました。事務局の皆様、戸井先生ありがとうございました。 私の方の講演は、AIの活用した音質評価とサウンドデザインについてでしたが、今回は、プラスアルファで生成AIのポテンシャルを感じて頂こうと思い、Music Videoも作成しました。ちょうどChatGPT-5のアップデータあり、AIエージェントの時代ということで、New GenerationというタイトルでAI時代を表現したものです。YouTubeにアップロードし下記にリンクを用意しましたので、楽しんで頂けたらと[…]
2025年9月8日

#3 シン・オンシツヒョウカ(JSAE Spring Conference 2023, Yokohama / inter-noise 2023, Chiba)

2020年の終わり、世界がパンデミックで静止したかのような時間の中で、私は思いがけない道を選びました。人工知能の勉強です。きっかけは些細な遊び心――会社名「Yokohama Institute of Acoustics (YIA)」の頭文字を逆さにすると「AIY」、つまりAIになる。冗談のような発想が、やがて強い衝動となりました。 20年以上サウンドクオリティに取り組んできた私でしたが、心のどこかで「物語をひっくり返すことで道が開けるのかも」と感じていました。思い出したのは若い頃に夢中になったRPG 『ウィザードリィ』。シナリオ1では冒険者が魔術師ワードナを倒し、シナリオ4ではプレイヤーが逆にワ[…]
2025年9月3日

AI-SQ Engineering: AIによる音質評価

人工知能を用いた音質評価:AI-SQ EngineeringをYouTube動画にてリリースしました。 三つのAIを活用するものになっております。5つの動画をアップロード公開しています。 初めに AI#1 サウンドのテイスティング評価 AI#2 シン・オンシツヒョウカ AI#3 Sounds.Listening.Models クリエイティブ・サウンドデザインとAIによる音質評価予測 以上、ご参考になれば幸いです。 https://youtu.be/oP-6iXO8XVU[…]
2025年8月9日

SSDS/JMAC2025技術講習会での発表

2025年9月4日JMAC2025技術講習会で、3つのAI(人工知能)を用いた音質評価を発表します。研究プロジェクト”シン・オンシツヒョウカ・アウフヘーベン”の結果をAI-SQエンジニアリングとして汎用的に使っていく形になりました。この3つのAIの考え方(AI-SQエンジニアリング)について、そして、実際に適用した事例を発表します。是非ご視聴、ご参加ください。 講習会の詳細は以下になります。 【SSDS/JMAC技術講演会 2025年9月4日(木)−5日(金)】https://modal.jp/event/event.html[…]
2025年7月19日

2004年フランスで – ”魔法のサウンドデザインツール”

フランス音響学会とドイツ音響学会のジョイントという形での学会発表イベントが2004年フランス・ストラスブールで開催されました。その際に、周波数動特性の内容を初めて発表したわけですが、特徴的なサウンドデザインツールを持つGENESIS社(現ANSYS Sound)に私は出会うことになります。 きっかけは単純に、私が自分の研究内容をポスター発表をしていたら、GENESIS社代表のPatrick Boussard氏が話しかけてきたところから始まります。 私が代理店をしていた時代(2007年-2012年)から比べればかなり広く知られているようになりましたが、当時はまだフランス国内でしか販売されてなかった[…]
2025年6月10日

音のタイプ化:3つのタイプと物理量

加速エンジン音は周波数動特性という特徴的な物理量を持つことから、音のタイプ化タイプ1にしました。タイプ1に当てはまらない全く異なる現象として代表的な二つを選びました。 定常音をタイプ2衝撃音をタイプ3 周波数動特性を中心にこれらのタイプを組み立て直すとタイプ1が時間と共に周波数が変化する(大きくなる、小さくなる)タイプ2が時間と共に周波数が変化しないタイプ3が波形が立ち上がって減衰する(周波数動特性が極大) という3タイプに分類することにしました。 そして時間周波数での形状がそれぞれ異なるため、当然その音から受ける印象の物理量がそれぞれタイプ毎に異なります。 わかりやすくするために、タイプ毎の違[…]
2025年5月27日

音のタイプ化のはじまり

2005年11月に当時、合資会社として横浜音響研究所を立ち上げた際に、最初に考えたことは、すべての音に対応する評価法やサウンドデザイン法を作ることでした。 そこまで大きな目標を持って、起業できると判断していた一つの理由としてどんな音でも対応できる方法、音のタイプ化の原型をすでにドイツ滞在中に思いついていたからです。 始まりは、DAGA(ドイツ音響学会の会合)で2004年にオルデンブルグ大学と共同研究で発表した内容、Engine sound perceptionになります。 この発表では、加速走行音に対してのスポーツ感指標として周波数動特性を初めて発表した機会になりました。 周波数動特性:時間周波[…]
2025年5月25日