EVサウンドデザイン

車室内を静かにする音響学

― 吸音メカニズムからシンサレート、そしてマツダ社のロードノイズ低減事例まで ― はじめに 近年、自動車の静粛性は快適性を大きく左右する要素です。エンジン音が抑えられ、電気自動車も増える中、タイヤと路面の相互作用に起因するロードノイズ(低周波成分を多く含む)が相対的に目立つようになりました。この記事では、①吸音の理論、②高性能吸音材シンサレート、③マツダのロードノイズ低減事例の順に解説します。 ① 吸音メカニズム ― 粒子速度と音圧の関係 1) 音の正体と「エネルギー散逸」 音は空気粒子の疎密で伝わる縦波です。吸音材は、繊維内部の粘性摩擦・熱伝導によって、音の運動エネルギーを熱に変えて散逸させま[…]
2025年10月4日

ドライビングシミュレーターによるタイヤ音シミュレーション

・はじめに 近年のドライビングシミュレーターは、大規模な物理ベース計算(physics-based simulation)を実行できる水準に到達し、実車に近い挙動や音響現象を再現できるようになっている。自動車開発においては、プロトタイプ車両を製造せずに仮想空間上にモデルを構築する「試作レス開発」が進展しており、開発期間短縮とコスト削減の両立が求められている。 音響開発の領域では、従来の統合的な騒音評価に加え、車両部位ごとの影響を分離して解析するアプローチが重要になりつつある。特にエンジン音のような広帯域かつ高音圧の音源と異なり、タイヤ音は発生メカニズム毎に周波数帯域が限定的であり、その発生機構も[…]
2025年9月16日

SSDS /JMAC 2025

9月4日、5日、中央大学でSSDS/JMAC2025に参加して参りました。講演の機会を頂き、また色々な方とお話しできる良い機会になりました。事務局の皆様、戸井先生ありがとうございました。 私の方の講演は、AIの活用した音質評価とサウンドデザインについてでしたが、今回は、プラスアルファで生成AIのポテンシャルを感じて頂こうと思い、Music Videoも作成しました。ちょうどChatGPT-5のアップデータあり、AIエージェントの時代ということで、New GenerationというタイトルでAI時代を表現したものです。YouTubeにアップロードし下記にリンクを用意しましたので、楽しんで頂けたらと[…]
2025年9月8日

#4 「PUYO-Swarovski」サウンドinter-noise 2013, インスブルック, オーストリア

始まりは2011年。ある日産のエンジニアの方から、Inter-noise 2011大阪での特別セッションに招かれたのがきっかけでした。その時すでに私は、2010年JSAE春季大会で電気自動車サウンド、いわゆるAVAS 車両接近通報音について発表しており、その実績が今回の機会へとつながっていくわけでした。 そのセッションはプログラムに載っていない「秘密のディスカッション」でした。そこでHEAD acoustic創設者のクラウス・ゲヌイト教授と出会い、リーディングサウンドデザイナーの一人として認めていただいたのです。それ以来、公のセッションにもたびたびご招待いただきました。 私は電気自動車の音には従[…]
2025年9月1日